日本のマザー・テレサと言われた佐藤初女さんは
生前、青森県の一角で悩みを抱え生きる希望を失ったような方々を支援する活動をされていました。
初女さんのにぎる心のこもったおむすびや
素朴な山菜料理を食べた人々は次第に元気を取り戻し、
また人生を歩み始める、そんな場所だったそうです。
私は子育ての本で初女さんのことを知り、2012年10月熊本講演で当時90歳を過ぎた初女さんからお話を聞くことができました。
印象的だったのは親子参加型のおむすび会のお話でした。
「お米を粗末にすると目が見えなくなる」と昔はよく言いましたが、あるときおむすびをにぎって手に沢山ごはん粒がついた子どもを、お母さんがそのまま抱き上げ水道で手を洗ってしまったそうです。
洗わずに食べれば捨てることなくちょうど塩がきいていて美味しいのですが、飽食になって物を大切にしなければいけないことに気がつかなくなってしまったのかもしれない。
日本は本当に豊かになったのだろうかという問いかけでした。
また、今はみんな先のことを心配しすぎだともおっしゃっていました。
身体の不調も、今大したことない人が先を心配して病院に行ったり、
自分は病気だと信じ込んで病気を自分で誘導したりしているように感じることもあったそうです。
素直に心から「ありがたい」と感謝をし、誰かと比べるのではなく今を満足すれば良い方に向かうものだと教えて下さいました。
様々な出会いの中で、苦しみを抱えた人はほとんどが「食」からの問題を持っているそうです。
食べることによって人は生かされているので、食事も市販のものでなく自分の手で作って食べた方がいい。
時間がとれなかったり出来ない理由があるにしても、
「出来ないけれども何をしたらいいか」でやっていけばいいとのことです。
そういえば私も忙しい生活をしていた若い頃、市販のものに頼っていた時代がありました。
自分なりにではありますが食生活を整えた今振り返ると、当時は心も体もぐらぐらだったのを思い出します。
初女さんがもう1つ大事にしていることは食べ物を美味しく作ることです。「美味しい」と思いながら食べると、食べ物の命が自分の命と一緒になり生涯共に生きることになるそうです。
家族が元気でいられるように、私は今日も料理をします。
峰松菜穂子